去年の日経新聞で、元陸上選手の為末大氏のSNSでの発信が取り上げられています。
「私たちの国は『なにかあったらどうすんだ症候群』にかかっています。
この症候群は社会に安定と秩序をもたらしますが、その副作用として社会の停滞と
個人の可能性を抑制します。この症候群には『未来は予測できるものであり、物事
はコントロールできるものである』という前提があります。」
全くその通りだと思いました。
今日の日経新聞で、野中一橋大名誉教授が別の角度から同様の指摘を行っています。
・バブル崩壊後の日本では、雇用、設備、債務の3つの過剰が企業を苦しめたとされたが、
本当に企業を縛ったのは、全く異なる3つ過剰だった
・その3つは、プラン(計画)、アナリシス(分析)、コンプライアンス(法令遵守)
・行動が軽視され、本質をつかんでやり抜く『野性味』がそがれてしまった
・計画や手順を優先すると、人は指示待ちになり、創意工夫をしなくなる
・過剰なコンプライアンスは、事なかれ主義やリスク回避、忖度の文化を生みやすくなる
・人的資本経営と聞こえの良い言葉を使い、形から入る(経営者が多くなっている)
など
これもまたその通り!
著名な方がこういう声をあげてもらうことで、
共感や刺激が生まれ、何らかの変革のきっかけになることを期待します。
私は以前から(偏見も含めてですが)大手企業にはリスクを取らない判断や行動を、
上記の3つを理由に正当化しようとする幹部やリーダーが多いと思っていました。
しかし、最近は規模に関係なく、そのような傾向があると感じています。
経営管理手法が進化し、中堅中小企業にもそれらが導入されています。
真面目に(過剰に)管理手法に沿ってマネジメントを行うことで、
その会社らしさや『野性味』が失われてしまうのは勿体ないことです。
記事にもありましたが、進化した管理手法は、
現状維持の経営には役立つが、変革は起きず、思考停止を招きます。
PDCAの「P」にチャレンジの要素、リスクはあるがやってみたいという思い
がないと、PDCAのサイクルなんて自発的に回らないと
研修やコンサルの場面でこれまで言ってきました。
企業も個人も、『なにかあったらどうすんだ症候群』
『プラン、アナリシス、コンプライアンスの3つの過剰』から脱却して、
一歩踏み出すべきだと改めて思う日曜の朝でした。