ブログ 2023.10.08
失われた時代の本質にあるもの

去年の日経新聞で、元陸上選手の為末大氏のSNSでの発信が取り上げられています。

「私たちの国は『なにかあったらどうすんだ症候群』にかかっています。

この症候群は社会に安定と秩序をもたらしますが、その副作用として社会の停滞と

個人の可能性を抑制します。この症候群には『未来は予測できるものであり、物事

はコントロールできるものである』という前提があります。」

 

全くその通りだと思いました。

 

今日の日経新聞で、野中一橋大名誉教授が別の角度から同様の指摘を行っています。

・バブル崩壊後の日本では、雇用、設備、債務の3つの過剰が企業を苦しめたとされたが、

本当に企業を縛ったのは、全く異なる3つ過剰だった

・その3つは、プラン(計画)、アナリシス(分析)、コンプライアンス(法令遵守)

・行動が軽視され、本質をつかんでやり抜く『野性味』がそがれてしまった

・計画や手順を優先すると、人は指示待ちになり、創意工夫をしなくなる

・過剰なコンプライアンスは、事なかれ主義やリスク回避、忖度の文化を生みやすくなる

・人的資本経営と聞こえの良い言葉を使い、形から入る(経営者が多くなっている)

など

 

これもまたその通り!

 

著名な方がこういう声をあげてもらうことで、

共感や刺激が生まれ、何らかの変革のきっかけになることを期待します。

 

私は以前から(偏見も含めてですが)大手企業にはリスクを取らない判断や行動を、

上記の3つを理由に正当化しようとする幹部やリーダーが多いと思っていました。

しかし、最近は規模に関係なく、そのような傾向があると感じています。

 

経営管理手法が進化し、中堅中小企業にもそれらが導入されています。

真面目に(過剰に)管理手法に沿ってマネジメントを行うことで、

その会社らしさや『野性味』が失われてしまうのは勿体ないことです。

 

記事にもありましたが、進化した管理手法は、

現状維持の経営には役立つが、変革は起きず、思考停止を招きます。

 

PDCAの「P」にチャレンジの要素、リスクはあるがやってみたいという思い

がないと、PDCAのサイクルなんて自発的に回らないと

研修やコンサルの場面でこれまで言ってきました。

 

企業も個人も、『なにかあったらどうすんだ症候群』

『プラン、アナリシス、コンプライアンスの3つの過剰』から脱却して、

一歩踏み出すべきだと改めて思う日曜の朝でした。