『森のような経営』という良い本を読みました。
医療法人社団昭和育英会理事長の山藤賢さんと
「株式会社森へ」創業者山田博さんとの対談形式の本です。
社員が自発的に生き生きと働く組織風土を創りあげた山藤さんと
「森のリトリート」を立ち上げた山田さんの対話に自分も一緒に参加
しているかのように読めて、色々感じることができました。
「森のリトリート」とはあわただしい日常から離れ
森の中に入って心と身体を開いて深く内省し対話することで
自分自身や事業の原点について本質的な気づきを得る
2011年からスタートした合宿型プログラムです。
山田さんはリクルート出身で、同じ事業部にいた事があり、
当時は変わったことを始めたな〜と思っていたのですが、
彼の思いやこのプログラムの良さが改めて解りました。
『森のような経営』とは
・森にはピラミッド構造は無く、トップダウンの指揮命令系統もない
自立した個人が調和を取りながら持続する組織
・ビジョンや数値目標ありきでなく、今・現場に集中する
森という自然界のような経営
『森のような人(経営者)』とは
・目の前の出来事に囚われない。良い悪いのジャッジをせず
目の前に起こっていることは何なのかと、そこから考える
・コントロールしようという意識に囚われない
・自分自身がありのままで居る。周囲が安心する
周囲の人もありのままで居られる。それぞれの居場所が見つかる
最初は、山田さんが何でも森に例えてしまうことに
多少違和感を感じましたが、段々と2人の会話に引き込まれます。
経営不振の病院と学校法人を父親から託され
15年かけて業績と共に素晴らしい組織風土を創り上げた山藤さん。
“社員が幸せになること”を一番に考えた経営を目指し
自分の頭で必死に考え、悩みながら試行錯誤する中で
森と出会い、ブレがなくなり、しっかりとした軸を持つ経営者となった。
『森のような経営』の実践者の言葉には説得力があります。
昨今、社員の幸せだ、働きがいだ、HRテックの導入だ……と
ひとつの流行りのような動きが盛んになってきましたが
そういった上辺のものとは全く違うものが感じられます。
『森のような経営』
これからの企業が目指す姿のひとつであると思います。
その実現は簡単ではないし、時間はかかるが、
経営者が覚悟を決めれば、成し得るはずです。
私の仕事は『森のような経営』の支援とも言えます。
関わる自分は『森のような人』に今どれ程なれているだろうか?
自問自答していきたいと思います。