孫と暮らしていると叱らないといけない場面が多くあります。
3歳の男の子だから色々とやらかしてくれます。
そんな時思わず「そんなことしたらお店の人に怒られるよ」と、
誰かに叱られるという言い方をしてしまうと、いかんな~と反省します。
昔、遠藤周作のエッセイでこんな話がありました。
バスの中で言うことを聞かない子供にお母さんが
「そんなことしてたら運転手さんに怒られるよ」と言うと、
「運転手は怒りませんよ、怒るのはお母さんですよ」とマイクでアナウンス。
ちょっと荒療治だが、この運転手さんは偉いと感じたという話。
別に孫に嫌われたくないと思っている訳では無いのですが、
つい叱る主体を他者にあずけてしまうのは良くないと思います。
叱るのはじいじ。叱ることを通して躾をするためにも、
叱る/褒める基準をはっきりさせないといけないと思い、
小さな子供に伝わるように言葉にすることを始めています。
これは自分の価値基準を言語化することと同じことです。
自分にとって大事だと思ってやっています。
企業においてはどうでしょうか?
「俺は君のことを評価しているんだけど、部長がさあ~」
とやっているマネジャーはメンバーから信頼されないものです。
メンバーはやはり一番近くで見ている
マネジャーの評価を一番気にしているものです。
どの企業も評価制度はしっかりしていて、
業績評価は数字やKPIで客観的に出るようになっています。
マネジャーが人事の仕組みをきちんと運用することは大事ですが、
それだけで終わっていてはいけません。
育成責任を負っているマネジャーが
現場・職場で、仕事を通して、人を育てるために、
どういう仕事や行動を褒め/叱るのかという基準を
しっかり持つべきだと思います。
しかし、その基準をはっきり持っているマネジャーは稀です。
なので、私のマネジャー研修では、自分のマネジメント基準を
言葉にすることをやってもらっています。
自分の仕事観、職場観、人材育成観を言葉にすることから始めます。
これまでの良い上司や良い職場で得たもの(その逆も)、
自分の体験・経験を振り返りながら自分の考えを言葉にする作業は、
最初は借りてきたような言葉からスタートしますが、
磨いているうちにその人らしい言葉になっていきます。
変化の激しい、働く人の価値観も多様化している今だからこそ
まずマネジャーが自分の基準を明確にして発信すべきです。
会社が経営理念や行動基準を示しているように。
現在の中間管理職、マネジャーは忙しい。
リモートワークもあり、メンバーとの接点がどんどん少なくなっている。
そんな中で、自分の考えが伝わらない、メンバーの育成がうまく行かない
といった悩みを持つマネジャーは多くいます。
そういう悩みがある方こそ、自分のマネジメント基準を
言葉にしてメンバーと共有することから始めるのをお勧めします。
今回掲載した写真は、私が30歳頃にメンバーに渡したレターです。
当時のメンバーが大切に持っていてくれました。
青臭くて恥ずかしいのですが、
自分の考える仕事観、職場観を言葉にしたものです。
優秀で自立していたメンバー達だったので楽でしたが、
これがあったおかげで、皆が同じ方向を向いて仕事できたと思います。