リクルートコミュニケーションエンジニアリングの創業期に
立ち上げメンバーと共に師匠から学んだ大原則は
そもそも人は自発性、主体性を持っている
人は自分で現実を見て感じ考え行動したいと思っている
という人間観でした。
この考えは自分の中にもうっすらとはあったと思いますが、
その手前で問題指摘のプロジェクトで失敗していた私には
ストレートに深く自分の心の中に入っていきました。
その人間観を持って、ありのままの人と組織に向き合い
事業が前に進む原動力がどこにあるのかを見出し
社員自身がその力を再発見して一歩を踏み出すための
触媒機能を果たすのが我々の役割。
そのためにマイナス面だけでなくプラスの面に着眼する。
人を変えるのではない、そもそも人は変わらない
コミュニケーションを変える、活性化するのが仕事
コミュニケーションの活性化からモチベーションを立ち上げる
そのための技術を学びました。
何かを教える講師・トレーナーではなく、
我々はコミュニケーションエンジニア(CE)だと、
自分たちの呼称も考えて、立ち位置を明確にしました。
最初の仕事は、ある書店チェーンの幹部研修でした。
事前に幹部一人ひとりにインタビューを行い社長に報告したのですが、
「専務のくせに何も決めない」「あの店長はリーダー失格だ」・・・・と。
ダメ出しの連呼
「社長はそうはおっしゃいますが、私から見ると専務は○○な強みがある
○○のような持ち味もある。また○○店長は・・・・・・・・」。
自分がプラスに着眼して捉えた幹部一人ひとりの特徴を一気に話すと
「まあ、そう言われればそういう面もあるか・・・・。
そういう面を引き出せていない俺の側に問題があるかもしれん。
そういう研修なのか今回は。うん!宜しく頼むよ」と言ってくれました。
かつてないほど緊張して臨んだ場でしたが、
納得したことについては素直に切り替えられる、
駆け出しの自分に賭けてくれる社長はすごい人だと思いました。
また、社長は幹部に色々ダメ出しをするけれど、
それは期待や思いが強いが故なんだと気付くことができました。
初めての研修は思った以上の成功でした。
「最近会議で幹部が自分の意見をしっかり発言するんだよ。
この前は“社長それは違います”なんて俺がダメ出しされちゃったよ」
と嬉しそうに話してくれた社長の顔を今も覚えています。
あれから30年近く変わらぬスタンスでやってきました。
標準化して大量生産するようなサービスではないので、
出身母体のリクルートコミュニケーションエンジニアリングも
大きな会社にはなりませんでしたが、
後輩たちはプライドを持ってこの仕事に取組んでいます。
私もこれからも愚直に取組んでいきます。